~住み慣れた暮らしを最期まで~
2014年をふりかえりますと、身近な コミュニティ(「地域社会」「地域共同体」)の、新しい“あり方”が問われた1年でした。
一つ目は、11月に岡山市で開催されたESD「持続可能な開発のための教育」に関するユネスコ世界会議。教育を通して、安心できる住みよい社会をつくり、地球を未来にきちんと残していく。学校や公民館は、そのための学びあいの場でもあります。
二つ目は、認知症に対する施策の方向性が示されたこと(岡山市版オレンジプラン)。岡山市民の4人に1人が高齢者という中で、認知症があっても住み慣れた地域で暮らし続けるための対策です。日本では一人暮らしの高齢者は600万人ともいわれ、団塊の世代が75歳を迎える2025年には、高齢者のみの世帯は25%、介護や支援が必要な認知症高齢者も倍増するとみられています。
国際統計では、日本は先進諸国の中で、家族以外の人との交流が最も少ない国だそうです。そんな中で、当地域にはすでに「吉備綾南まちかど博物館」のような “コミュニティ感覚” が根付いています。また岡山は、以前より公民館活動が盛んですが、施設を改めて整える時間と経済的余裕のない中、吉備公民館が建て替えられ、新たな”コミュニティ空間”が作られることも非常に楽しみです。一方で、生活支援の面には多くの課題が残されています。民間企業と行政との協力も必要でしょうし、ボランティアに頼る支援だけでは持続できません。「まちおこし」、「まちの活性化」と言うと、経済的な成果を目的としがちですが、「まちの”豊かさ”」につながる、まちかど博のようなイベントは重要なヒントを与えてくれます。一方で、地域住民の活動(頑張り)に依存しすぎてはいけません。行政の意欲とリーダーシップが最も重要で、積極的な旗振り役となって“地域住民の新しい暮らし方”という大きな課題に向き合ってほしいと思います。
当院は多くの病院と連携をとって診療を行っていますが、行政や地域包括支援センター、訪問看護、介護福祉の様々な部署とも、これまで以上に連携を密にし、安心できる医療を提供して参ります。