~桜と黄砂とPM2.5と~
例年より早めの桜の便り。庭瀬城址の桜も咲きました。
今日も仕事を頑張ろうと大きく深呼吸・・・「ちょっと待てよ」。花粉症の人には、ただでさえつらい季節。今年はさらに越境汚染が加わります。微小粒子状物質(PM2.5)。岡山県大気汚染監視システムの速報値を、インターネットで閲覧できるようになりました。ニュースで知り、2月下旬に早速調べてみました。1立方メートルあたり54μg (マイクログラム)??環境基準値は35μgのはず。にわかには信じられません。ほどなく同月27日、環境省は都道府県が注意喚起を行う基準を70μgに設定。。。
政府の「ただちに影響をおよぼすものではない」とのコメント。2年前にどこかで聞いたような言葉。ニュースや報道に対して、「本当だろうか?」「それはどうしてか?」と疑うことは、事実の「素顔」を見誤らないための第一歩。
PM2.5は非常に小さな2.5マイクロ以下の粒子状物質の総称です。吸い込むと、肺の奥深くから血流に達する可能性が高まります。米国では10年も前から、肺だけでなく、心臓病への影響が明らかにされています。日本でも黄砂(付着したPM2.5?)が脳梗塞の発症と関係することが報告されています。これらは短期間の吸入でも影響が出ます。さらに、血圧の上昇や認知機能の低下にも関わるとの報告も。したがって、「ただちに影響を~」は、怪しく聞こえてしまうわけです。
そもそもPM2.5は新しい汚染物質ではありません。身近なタバコの煙(副流煙)はPM2.5です。室内で受動喫煙すれば、北京市内と同じ環境。事実の「素顔」は、意外な「仮面」をかぶっていることがあります。身近な受動喫煙の影響は棚に上げて、大陸から飛来する目新しいものに過敏に反応していませんか?タバコの煙の方が危険なことは明らかです。(参考:日本禁煙学会http://www.nosmoke55.jp/)
ともあれ、偏西風の強いこの季節、注意喚起が出された日には、肺や心臓の病気をお持ちの患者さんは、不要不急の外出を控えた方がよさそうです。