よくわかる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

『骨粗鬆症は「ねたきり」の原因』
いわゆる「ねたきり」の原因として、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)はよく知られる病名となりました。骨粗鬆症とは、「骨の密度や質が低下することで、骨が弱くなって骨折しやすくなった状態」をいいます。特に、大腿の付け根(大腿骨近位部骨折)や背骨(脊椎圧迫骨折)の骨折は、脆弱(ぜいじゃく)性骨折とよばれ、骨粗鬆症の程度が強いほど頻度が高くなります。

『骨粗鬆症は予防が大切』
骨粗鬆症の70%は女性とされ、閉経後に女性ホルモンが低下することで、骨が弱くなる「閉経後骨粗鬆症」が多くなっています。食事療法では、カルシウムの摂取はもちろんですが、ビタミンDや蛋白質の摂取も重要です。カルシウムは、乳製品だけでなく豆腐や納豆にも含まれます。ビタミンDは、うなぎやサケ、きくらげ、サンマ、カレイなどに含まれますが、同時に皮膚で産生されるため、1日15分程度で構わないので、日光浴も大切です。運動療法の有効性は高く、歩行運動だけでも明らかな骨折予防効果があります。特に思春期の運動は予防に大切で、骨に対して衝撃のある運動(バスケット・体操・卓球・ダンス など)が効果的といわれます。長く宇宙に滞在した宇宙飛行士は、地球へ戻ると骨も脆くなっているといいます。重力・筋肉が骨を「いじめる」からこそ強さを維持できるのです。

『骨粗鬆症の診断と治療-治療の目的は「骨折の予防」-』
診断には、骨密度を測定します。治療に際しては、骨密度測定が必ずしも必要というわけではありません。背骨のレントゲン写真をよく見た方が、早期の変化がわかる場合も多いのです。治療は、食事・運動療法はもちろん、お薬による治療を行うこともあります。骨密度を測定するまでもなく、脆弱性骨折の既往がある人は服薬が望ましいとされます。数年の間に骨粗鬆症のお薬は数も増え、のみやすさ・治療効果ともに大変進歩しました。カルシウムの吸収を促進するもの、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐもの、骨を壊す細胞のはたらきを抑えるもの、逆に骨を新しく作るはたらきを促進するもの、などがあります。

『骨粗鬆症は生活習慣病』
骨粗鬆症患者さんは動脈硬化が進行している傾向があります。糖尿病や高血圧、腎臓の悪い患者さんでは骨粗鬆症になりやすく、骨折の危険性が高いことが明らかとなっています。骨粗鬆症は全身疾患でもあるのです。骨折の予防は高齢化社会における喫緊の課題となっています。高血圧・糖尿病・脂質異常症などは、脳梗塞や心筋梗塞につながる危険がありますが、それまでは無症状です。同様に、骨粗鬆症も骨折するまで症状に出ないという点でも似たところがありますね。

 骨粗鬆症は内科疾患です。診断・治療について、お気軽にご相談下さい。