2013年8月
 
~焼肉には白米でしょ!?(その1)~
 
6月に国連が、食糧危機対策として「昆虫食」を推奨。タンパク質やミネラルなど、「栄養があって美味」と。せめて姿形の分からない、優れたレシピを考えて欲しいものです。政治家が、TVカメラの前で美味しそうに食べ始めてからでも良さそうですね。

豊かすぎる日本。食糧危機どころか、糖尿病人口は増え続ける一方。「糖尿病は万病のもと」と言われます。健診の普及で早期発見、治療法も進歩しましたが、近年思わぬ合併症として、骨粗鬆症や認知症、がんになりやすいことも明らかに。一方で、健康食品やアンチエイジングなどにまつわる話は枚挙にいとまがありません。

最近注目される「糖質制限食」「糖質制限ダイエット」。ちょっとしたブーム。主食のごはん・パン・めん類・イモ類などの炭水化物は、最終的にブドウ糖として吸収されます。そこで、糖質である主食を制限して、糖尿病の食事療法やダイエットに利用しようというわけです。たちまちは、動脈硬化の原因となる食後の高血糖を抑え、体重も落ちます。主食を制限するかわりに、糖質の少ない副食は何を食べてもOK、という分かりやすさも人気の理由。

ところが、有効性が叫ばれる一方で、“心血管病(心筋梗塞や脳梗塞など)が増加した”、などの報告もあり、素人判断は禁物。糖質制限食では、たとえば、焼肉屋さんに行って、白米は “おあずけ” というストレスと戦うことになります。実は、ストレスは血糖を上げるはたらきがあるのです。その点を心配するのは私だけでしょうか?

議論が沸騰する中、糖尿病学会は、「長期的な食事療法としての安全性など、これを担保する科学的根拠が不足しており、現時点では勧められない」としています。推奨する医師は見切り発車状態。若い人の短期的な“ダイエット”には有効な一面もありそうですが、夜食や間食など、ライフスタイルの改善の方が重要だとの報告も。

私は以前より、バランスのとれた食事制限が困難な人には、「ごはんを山盛り食べているなら、すりきりに」「5枚切り食パンなら、6枚切りに」と指導をしてきました。その点では、穏やかな“プチ”糖質制限派なのかもしれません・・・次号につづく。