2013年6月

~温暖化と、かく乱される感染症~
 
中国で発生した鳥インフルエンザ。本稿執筆時、終息の兆しが少し見えてきました。今回注目されるのは、媒介したと考えられる動物 (トリ・ブタ?)は元気であること。まるで“忍者”のように感染します。忍者の仕事は裏工作や敵のかく乱。しかしヒトに感染した時は、肺炎を起こしやすい“必殺仕事人”に変身します。ヒトへ「感染しやすく」「増えやすく」変異していることも明らかに。引き続き、パンデミック(世界的流行)に至らないことを祈り、注視しています。

産業革命以降、人類が排出した二酸化炭素が原因とされる地球温暖化。温暖化は単純な「気温の上昇」にあらず。本質は「異常気象」と理解するべきです。今年のゴールデンウィークは、観測史上20~40年ぶりの最低気温を記録。一方で夏場の最高気温は上昇する一方。積乱雲は大気をかく乱します。感染症を引き起こす、さまざまな病原体もかく乱されます。生態系の変化や、ネズミ・蚊などの媒介生物の分布の拡大は、思わぬ感染症の流行をもたらす恐れがあります。数年前から、沖縄県では真夏にもインフルエンザが猛威を振るっていることはご存知でしょうか。日本脳炎・マラリア・デング熱・コレラなど、温暖化により、良からぬ意味で「風が吹けば桶屋が儲かる」式の流行を来す可能性があります。いずれも新しく侵入してくる感染症ではありません。過去には日本でも発生していたものです。媒介する蚊も、日本に普通に生息していることが確認されています。        (参考:環境省地球環境局 地球温暖化と感染症)

余談ですが、初めて「地球温暖化」を知ったのは30年前。テレビのミステリー番組でした。温暖化による海面上昇や異常気象。人類は地球に住めなくなるため、NASAは秘密裏に「火星移住計画」をすすめている、というもの。時は流れ、地球温暖化は市民権を得ました。火星移住計画はさすがに・・・と思っていたら、2010年、NASAは「片道切符」で移住する(地球には戻らない)計画を公表。本年5月には、オランダの非営利団体が同様の計画で移住希望者を募集。1万人余りの応募者のうち600人以上が中国人だったとのこと・・・。いろいろな意味で、妙に納得する出来事でした。