2016年10月

~医療放射線について~

医療現場では、エックス線などの放射線を用いた検査が、病気の診断や治療に大きく貢献しています。福島第一原発事故により、放射線の影響が不安視された結果、病院の検査などへの問い合わせが全国的に増えたそうです。事故後にTV出演して不可解な発言を繰り返す政治家や研究者たち。シーベルトだの、ベクレルだのと言われても、雲をつかむような話。当時、放射線による影響を解説した一般向けの本を数冊読みました。残念ながら読んで安心(理解)できる内容のものはありませんでした。

レントゲン撮影で用いるエックス線は放射線の一種ですが、照射した部位や体の中に残るようなことはありません。胸のレントゲン撮影では、1年間で受ける自然界(宇宙や地表)からの放射線量の20分の1以下だとされます。一度に大量の放射線を浴びれば身体に症状が現れますが、その量は、胸のレントゲン撮影の1000倍以上となります。重要なことは、放射線の危険性よりも、検査や治療を受ける利益の方が大きいということです。気にしすぎるあまり、検査を避けてしまうことで、病気の早期診断や治療が遅れてはいけませんね。一方で、12年ほど前、外国の論文で、日本の放射線検査量が飛びぬけて多い事が指摘されました。医療先進国である日本のCT検査機器の普及も原因といわれます。日本は世界一の長寿国でもあり、がんの早期発見をはじめとした医療水準の高さを表しているということもできるのではないでしょうか。ただし、医療や原発事故による人工的な放射線は少ない方が良いわけで、医療現場では可能な限り放射線量を低減する努力もなされています。

放射線の被ばく線量と健康への影響は、広島・長崎の原爆被爆者を対象とした長年の調査によって明らかにされてきました。私事ですが、広島と長崎には約28年住みました。広島平和記念公園は慰霊の場とともに、“日常”でした。平和学習、原爆資料館の見学、通学路だったり、散歩を楽しんだり。そこにある日常の光景でした。「長崎の鐘」で有名な、浦上天主堂の鐘の音を毎日聞きながら6年間をすごしました。そして広島赤十字原爆病院での勤務。TVでは原爆関連のニュースを報じない日はありません。ところが広島・長崎を離れると、それら日常が急に失われます。被爆者の方々は年々少なくなり、失われていく記憶の危機感を感じるようになります。。。

オバマ大統領の広島訪問。カープ25年ぶりのリーグ優勝と並び?今年最も印象的な出来事でした。「核兵器のない世界」を提唱してきたオバマ大統領の被爆地訪問。「和解」と「歴史の節目」であると同時に、「新たなスタート」となることを祈ります。