2013年10月

~増えている「メタボ肝がん」~

“そういえば以前、健康診断で「脂肪肝」と言われたことがある・・・”という方は多いと思います。「食事に注意し、運動をしましょう」という説明だけだったのではないでしょうか。60歳を過ぎた方で、そのような覚えのある方は、肝機能検査を受けてください。肝炎を起こし、肝硬変から肝がんに進行する病気、「NASH」の場合があります。非アルコール性脂肪肝炎(onlcholic teatoepatitis:NASH“ナッシュ”と読みます)といいます。肝臓に脂肪が貯まった状態には、単純な「脂肪肝」のほかに、10%の頻度でNASHという肝炎があることが分かってきました。糖尿病や肥満の人に多く、「メタボ肝がん」とも呼ばれます。お酒はつきあい程度しか飲まないのに・・・肝硬変?

肝がんの90%は、ウィルス性の慢性肝炎(B型・C型肝炎)から発生するものでした。ところが、治療法の進歩により、ウィルス性肝炎からの発がんは減少しています。一方で、NASHから発生する肝がんが増えてきており、問題になっています。まだ、確立された治療法はありませんが、運動療法・肥満解消により肝炎が改善される場合が多いのです。早期から対応することが大切です。ただ、高齢になってからの急激な減量は良くない場合もあり、医師の指導のもとで行いましょう。当院では、高血圧などの慢性疾患、特に糖尿病患者さんを中心に腹部エコーなどの定期検査を行っています。がんやNASHの予防・早期発見は、重要な使命であると考えています。