2014年10月
 
~時は流れない、それは積み重なる~

10月で開院5年を迎えました。もう5年?まだ5年?科学・技術の進歩は速く、「5年ひと昔」などとも言われます。

「時は流れない。それは積み重なる。」20年以上前でしょうか、CMで流れたコピーです。歳月は過ぎ去ってしまうものではない。積み重なって、熟成された今につながる。年齢を重ねて渋みを増した映画スターが起用され、ウイスキーのCMとして秀逸なものだったと記憶します。

“積み重なる”と言えば、野面積み(のづらづみ)の石垣が築かれた庭瀬~撫川城跡。旧庭瀬往来との間に挟まれた当院の敷地は、「埋蔵文化財包蔵地」の中に位置します。埋蔵文化財とは、土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡と言われている場所 : 集落跡・城館跡・古墳など)のことです。 埋蔵文化財の存在が知られている土地を、「周知の埋蔵文化財包蔵地」といいます。岡山市内には約3600か所を超える、周知の埋蔵文化財包蔵地が確認されています。工事中に埋蔵文化財が発見された場合は、一時中断し、文化財保護法第96条の適用を受けます。当院の建築の際にも、担当の岡山市教育委員会文化財課の立会い工事が行われました。もし、土器や食器、武具などが出土していたら、未だ当院は開院できていなかったかもしれません。

当然ですが、お城には敵兵が近づけない要塞としての機能が求められます。南は湿地~海。沼城で、縦横に張り巡らされた城濠と、狭い道で囲まれた庭瀬城。鉄壁の守りを維持するためのインフラが整備されています。これすなわち・・・、当院の敷地は、患者さんからのアクセスも良いとは言えないわけです。「東側に橋があればいいのにね~」「車をぶつけそうになって」開院当初には、しばしば話題になりました。

そのような立地ゆえ、「そこにあるから」ではなく、「かりや内科だから」来てくださる患者さん。数々の障壁を乗り越えて?来院していただいていることに、日々感謝の思い。これからも、「一患入魂」(私の造語です)を座右の銘に、尽力して参ります。そして、足元に埋まった歴史を感じながら、時を積み重ねていきたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。